逃げた話

限界だった

私は、まだ姉のことは信じていたんだと思う

その日は姉と少し言い合いになったから特段家に帰りたくなかった

 

まあ、実家暮らしがどうなの?っていうところはあるかもだけど、もう何もかもに疲れてて一人暮らしをしたいと思っていたけど、何もできなかった。

ODもするようになってしまったけどずっとダルかった。

 

あの日、帰らずにもう死のうと思った。

薬とお酒と首吊り用のひもを用意して。

最後に少し楽しみがほしかったからネットカフェに入った。

 

一人の空間。

周りの音にびくびくしなくていい。

家にいるときはリスカや泣いてる時も耳を澄まして、常に気を張っていた。

 

あ、楽だ。

息ができる。

こんなに気持ちがすっきりして、頭の靄が晴れたような気さえした。

 

それでもまだ、死ななきゃって思ってた

親からは鬼電。帰らないとだけ連絡して電話には一切出なかったから。

だから、きっともういつもどうりには戻れない。

だからもう死ななきゃって。

 

首吊りをしようとして、ひもを首にかけて、

ゆっくりと体重をかけていった。

少し頭がぼーっとしてきた。

ふと、こんな楽な時間を過ごせて、ほぼ初めて生きるのが楽しいと思ったのに死ぬの?って思った。

 

冷静になった頭で考えた。

ずっと死にたい、死ななきゃって思っていたけど、そんなこともないのかもしれない。

冷静になった後はむかついた。

なんでこんなに私が苦しんだのに親のあんたたちはのほほんと生きているの?って。

 

どうすればいいかまだ決まっていなかったけど冷静になれたことは確かだった。